今年度の授業も折り返し地点に達した1月26日、書道家の小平多起(こだいら たき)先生が、子供たちに書道の手ほどきをするため、ボローニャ日本語勉強会に足を運んでくださいました。小平先生は中国の大学で書を学ばれ、現在はローマを中心に活躍されている書道のエキスパートです。また、ローマ日本文化会館では書道の講座をお持ちになっていらっしゃいます。
筆の持ち方、姿勢、左手の置き方を丁寧に指導していただいた後に、一人一人、墨を磨る作業に取りかかりました。最初は緊張気味だった子供たちも、初めての作業に真剣に取り組んでいました。
墨を磨りおえると、いよいよ筆に墨をつけ、横の線、縦の線、細い線、太い線などの基本を習います。思ったよりも難しい作業でしたが、一人一人の線を先生が褒めてくださり、使い慣れない筆を運ぶのが、すぐに楽しくなったようでした。
半紙にたくさんの線を書いたところで、次は、びっくりするような太さの筆の登場です。子供たちの緊張も一気に解け、歓声があがりました。
半紙の代わりに極太の筆で墨をのせるのは、特大の白い布。
まずは、先生が「土」と「人」の二文字を見事な手さばきで書き、味わいのある見事な作品が完成しました。
続いて、子供たちがそれぞれ心に浮かんだ字を書きます。
意図せず生まれた「かすれ」や墨のハネ、余白までを作品の一部と見なし、
一つ一つの作品を褒めていただく中、子供たちもそれぞれの個性を最大に発揮できたようです。どの子も迷うことなく、しっかりとした筆運びで、のびのびとした作品を完成させました。
お手本通りに書くお習字とはまた違う、芸術的な要素たっぷりの書道体験は、
日本語や日本文化を学ぶ子供たちにとって、大きな刺激になったことと思います。
小平先生、子供たちにじっくりお付き合いいただき、本当にありがとうございました。