第13回「ママのためのレクチャー」
2015年11月24日(火) 午前10時〜 於:東洋美術研究所
(Al Centro Studi d'Arte Estremo-Orientale/ Via Santa Maria Maggiore 1/a-f)
第13回目の「ママのためのレクチャー」は、日本の西洋美術史研究の第一人者である、立命館大学産業社会学部教授の仲間裕子先生を特別講師にお迎えして、西洋美術を学んだからこそ開眼した、世界最高レベルといえる日本美術の素晴らしさについて、熱く語っていただきました。
まずはご自分のご専門のドイツロマン主義美術の研究に至ったいきさつなどを通しながら、18世紀後半に描かれたフィリップ・ハッケルトと円山応挙の2つの滝の絵を比べて、西洋ではかたや、その表現は視覚重視であるのに対し、日本では感性の重視、多視点、そして人間と風景が同一空間に存在するなどの違いをご指摘いただきました。
そして、日本の美意識のキーワードである「かざり、みやび、わび、幽玄、綺麗さび」の解説。
風流の精神の結実としてのかざり、こういった日本美術の特徴の源泉は、平安時代の貴族がつくりだしたものであり、極めて少数の平安貴族により、京都という、限られた場所で生み出されたということも新鮮な驚きでした。
また、11世紀の日本美術の代表とされる仏像の見方の重要性についてもご説明いただきました。
どのように見るのか・・・その環境、月の光や影、風、水などを感じながら。
特に例を挙げてお話しくださったのは、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像についてでした。
12世紀の絵巻物、そして飾りの黄金時代といえる桃山美術。その対局のような千利休の「わび」の世界。
1933年来日したドイツ人ブルーノ・タウト氏が絶賛した「桂離宮」の素晴らしさについてのお話も大変興味深いものでした。
そして最後に、長谷川等伯の「四季柳図」を見せていただきながら、日本美術に影響を受けたモネの「睡蓮」との関連性についてご説明いただきました。
イタリアにいながら、日本美術の素晴らしさについて、再発見する機会をいただけたことは、たいへんありがたく、たくさんの貴重なお話を論理立てて、わかりやすくご説明いただいて、素晴らしかったです。
仲間裕子先生、ご多忙中にも関わらず、おいでいただきましてありがとうございました。
参加者一同、深くお礼申し上げます。
西洋美術史の研究者でいらっしゃるからこそ、お分かりになる日本美術の特性や、その魅力など、先生の世界観をお聞きして、私たちも新たな発見と見識を深めることができました。
本当にありがとうございました!!
(レクチャー担当・烏丸)